超臨界水中でのソフトマター、コロイド科学
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我々が住む、圧力が1気圧前後の世界では、水は100℃で沸騰します。ところが深海のように圧力が高くなると、水の沸騰する温度も上昇し、深度100mでは180℃まで、深度1000mでは312℃まで沸騰しなくなります。ですから深海熱水噴出孔から吹き出す水の温度は、300℃を超えることもあります。それでは、世界で最も深い海の底(マリアナ海溝、チャレンジャー海淵、11,000 m)にまで行くと、水はいったい何度で沸騰するのでしょうか?"いくら温度を上げても沸騰しない"が答えです。それどころか2200m以深では、水はいくら温度を上げても沸騰しなくなるのです。"沸騰"とは、水が液体から気体へと相転移することですが、374℃、218気圧以上の極限的な環境では、液体と気体の区別すら無くなり、水は超臨界流体と呼ばれる状態になるのです。このような極限環境下では、水の性質も大きく違います。例えば、水には塩がたくさん溶け、油はほとんど溶けません。ところが超臨界水中には、油がたくさん溶け、逆に塩はほとんど溶けなくなるのです。熱水噴出孔下や地殻内部の高温・高圧環境の水は、まさに超臨界状態にあると考えられます。このような高温・高圧の極限での水の中で起る物理・化 学現象が我々の研究対象です。
何tempertureは、水の凍結を行います1. 超臨界水中でのコロイド科学
右の写真は金のナノ粒子(直径60 nm)を水に分散したものです。金属、油、鉱物など水に溶けないものも、微細な粒子にしてやると、水に安定に分散することができます。このようないわゆる微粒子分散系(コロイド分散系)は、典型的なソフトマターであり、ナノテクノロジー、バイオテクノロジー、医用分野、食品、化粧品、塗料など、数多くの分野で用いられている重要な技術です。例えば牛乳は、直径数µm程度の微細な油滴が水に分散した微粒子分散系そのものです。微粒子分散系は、また、地球上での物質輸送で重要な役割を果たしています。堆積物が微細な粒子として水に安定分散され、泥水となって長い距離を運搬されるプロセス(コロイド輸送)によって、毎年数十ギガトンもの堆積物が、河川から海洋へと運ばれています。それでは地殻内部や熱� ��噴出孔下など、高温・高圧水の中も、同じように濁っているのでしょうか?我々は、超臨界水の中では微粒子の振る舞いが通常とは全く異なることを、世界で初めて明らかにしました。最新の研究結果によれば、地殻内部の水は濁った泥水ではなく、澄み渡っているはずだと考えられます。これらの成果は、地殻内部や深海熱水噴出孔の高温・高圧水環境における地球化学プロセスの解決や、超臨界水を利用した新材料の創製に繋がると考えられます。
オーストラリアの土壌erosianは何ですか2. 生命の起源
原始地球上での最初の生命が、深海熱水噴出孔のような高温・高圧環境で誕生したとの仮説があります。化学の視点で有名な研究に、無機物からアミノ酸ができることを示したミラーの実験があります。ところが、アミノ酸自体は、非常に単純な分子で、それだけで複雑な生命活動が起るわけではありません。アミノ酸がたくさん繋がってタンパク質となって、初めて様々な化学反応を触媒することが可能になるのです。このように分子からソフトマターへの変化は、生命の誕生に置いて極めて重要なイベントだったはずです。我々は、極限環境下におけるソフトマターの生成という視点から、深海熱水噴出孔環境における生命誕生の可能性を探っています。
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